元前5~6世紀頃、インドの北部(現在のネパール)の釈迦族の王子として生まれたお釈迦さまは、幼いころから何不自由のない暮らしを送っていました。しかしいつしか、「生まれてきた者は、年老いて、病気にもなり、そしていつか必ず死んでしまう」という、誰一人として逃れることのできない問題に深く思い悩むようになります。
歳となったある日、お釈迦さまはこれらの苦しみの解決方法を求め、修行をする決意を固めました。王子としての立場や地位を捨て、妻や息子からも離れ、全てのものを捨てて、旅立つこととなったのです。
城を出たお釈迦様は、2人の仙人を訪ねて、教えを乞います。しかし、納得する答えを得ることはできませんでした。それからは、自ら答えを見つけようと、心の乱れを抑える苦行、断食の苦行、呼吸を止める苦行など、過酷な修行を自らに課し続けます。ところが、体が極限までやせ細り、骨と皮だけの姿になるまで苦行に励んでもなお、苦しみを解決することはできなかったのです。
行を止めたお釈迦さまは、菩提樹の下で静かにこれまでを振り返ります。恵まれすぎていた王宮と、苦しい修行という両極端の生活。そして、そのどちらでもない、今この瞬間の静かな瞑想――。このとき、「極端な生活は極端な考え・心を生み出してしまう」と気づきました。これをきっかけに、ついに苦から解き放たれた"さとり"の境地に達し、ブッダ(=さとりを開いた人の意)となったのです。城を出て6年が経った12月8日、お釈迦さまが35歳のときでした。
の"さとり"の内容をかつて一緒に修行した5人の僧侶に伝えたお釈迦さまは、その後も45年間に渡り、各地方へと教えを説いてまわりました。そして、80歳で死の床に伏す瞬間まで真理を説き続け、多くの人々を進むべき道へと導いたのです。
- 前へ
- 次へ