国土乱れん時は、先ず鬼神乱る
『立正安国論』/
文応元年(1260)39歳
今月の聖語
『立正安国論』/
文応元年(1260)39歳
=鬼神を善神に=
古典『徒然草』には、「女が鬼になって京の町に来たという噂がたち、鬼探しが流行ったが誰も鬼を見つけられない。その後、病気になる人が増え、鬼の噂はその前兆だったのかも」といった記述があります。
昔から鬼は人に禍をもたらす目に見えない存在として理解されてきたようです。では鬼はどこにいるのでしょうか。それはそれぞれの人の心の中です。そして鬼は、善神になったり、また鬼神に戻ったりと、折々に変化していきます。
世の中では良いこと、悪いことが次々起こります。現実の世界と目に見えない心の世界が影響し合っているからです。人がお互いに敬い合い、優しい気持ちになることで、互いの心に棲む鬼神が善神に変わっていきます。誰にでもできる小さな思いやりが、安穏な世界の実現につながっていくのです。
◎日蓮聖人ご遺文『立正安国論』
国の乱れは人心の乱れが原因とし、一刻も早く心を正し安穏な世の中を作っていかなければならないという提案です。聖人は世の安穏を願って、鎌倉幕府の実力者に提出しました。
文応元年(1260)39歳