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今月の聖語

今月の聖語

善からんは不思議
悪からんは一定と思え

日蓮聖人御遺文「聖人御難事」/
弘安二年(一二七九年 聖寿五十八歳)

「重々の策励」
掲出前文に「彼等には、ただ一円に思い切れ」とある。日蓮聖人は断固たる決断を要請されたのであった。更に続く「ひだるしと思わば餓鬼道を教えよ。寒しといわば八寒地獄を教えよ。恐ろしといわば鷹にあえる雉、猫にあえる鼠を他人とおもう事なかれ。」と。
彼等とは、駿河熱原の日蓮聖人の信徒群で農民たち二十名。「日蓮帰依」を憎んだ鎌倉幕府執権北条時宗の腹心で、侍所所司(次官)平頼綱は「日蓮門下」に不当な暴圧を久しく加え、ついに信徒群を捕縛し、鎌倉に連行した。頼綱は私邸で彼等を拷問し、その果てに三人をみせしめに虐殺するにいたる。捕縛連行の急報に接した日蓮聖人は門弟に指示。弘安二年十月一日付この状がそれである。事件「熱原法難」は、国権介入の不当な弾圧であり暴挙であった。
日蓮聖人は渾身の気迫を込め必死の教示書の筆をふるった。頼綱の狂気的加害を充分予測し得たから、日蓮聖人はまことに厳しいぎりぎりの言葉を費やし、策励されたのであった。