=逝き方は生き方から=
「今までは人のことだと思ふたに 俺が死ぬとはこいつはたまらん」。
江戸時代の狂歌師大田南畝の辞世の句です。
見方によって私たちはこの世に生まれ出た瞬間から死に向かって歩み始めているとも言えるでしょう。これを「諸行無常」と表現しています。しかし、日頃この事実をどこまで実感しているでしょうか。
自分の息が止まる瞬間をイメージして今を生きる。これはとても想像し難いことかも知れません。ですが、そこから地に足が着いた生き方が見えて来るのかも知れません。
日蓮聖人ご遺文
『法華證明鈔』
本書は別名『死活鈔』とも呼ばれ、弟子日興上人を介して檀越南条時光公に与えられた書状です。
聖人自身病床にありながらも時光公が重病との知らせに、治病の護符の作法を日興上人に伝授されました。
併せて本人には、自らの病魔を呵責し信心堅固にして病悩を克服するように励まされました。その結果、時光公の大病は全快し長寿を遂げたのです。
弘安5年(1282)聖寿61歳