=お題目は慈悲の教え=
乳飲み子を育てる母親は、自分のことは二の次にして、ただただ赤子のことを思って毎日を過ごします。自分のためだけではなく、世の中のすべての安らぎを祈るのが「南無妙法蓮華経」のお題目。赤子のためにいっしょうけんめいな母親の姿と重なるものがあります。
赤ん坊が母親の慈愛を理解するのは、ずっと後のこと。大きくなってはじめて分かることです。成長した後も、私たちには、暮らしのなかで見逃してしまっている大切なことがたくさんあるのではないでしょうか。
日蓮聖人ご遺文
『諫暁八幡抄』
本書には、法華経守護を誓約する八幡大菩薩を祀る鎌倉鶴岡八幡宮が炎上した原因が説かれています。それは氏子の北条氏が法華経の行者を迫害した故に八幡大菩薩が自ら社殿を焼き天上へ昇ったというのです。そこで聖人は改めて八幡大菩薩に対して法華経の行者を守護すべきであると諫められました。
この一節は仏の御心を体する者として、聖人ご生涯の一大目的を明かされているのです。
弘安3年(1280)聖寿59歳