=「時」の大事=
春に美しい花を咲かせ、秋に実をみのらせる植物。春は花を咲かせることに、秋は実をみのらすことに一生懸命になった結果です。目の前の「時」にベストを尽くすことはとても大事なことです。
同時に、こうも考えられるはずです。春は秋に美味しい実をみのらすために花を咲かせ、秋は来春に美しい花を咲かすために実を結ぶのだと。
現在の花を咲かせることと、未来に実を結ぶことを一つにした祈りの姿が合掌です。
『上野殿御返事』
このご遺文は、南条時光公が身延山の日蓮聖人に白米一駄を届けたことに対する礼状です。
窮乏の時を知るかのような贈り物への聖人の驚きや、冬の寒さに食糧難という身延山でのくらしの厳しさがうかがわれます。
山中の生活で食糧も乏しくなり、命が絶えそうになったときに頂いた白米は、尊い品物だと礼を述べられ、供養した南条公には釈尊と法華経の恵みがあると結ばれています。
弘安2年(1279)
聖寿58歳