=本当の心=
月を見て美しく感じ、花を愛でて気持ちがなごむのは、私たちの心がそれらと呼応するからです。すなわち、私たちの心にはすでに月は美しいもの、花は愛らしいものと感じる清らかな心があるからです。
しかし、私たちは忙しい生活を送るうちに、知らず知らずなごやかさや穏やかさを失い、美しく清らかな心の存在を忘れてしまいます。
そんなとき、合掌すれば、あなたの心の奥にしまわれている月や花を呼び起こし、私たちがもつ本当の心を取り戻すことができるのです。
『事理供養御書』
このご遺文は信徒からのお供え物に対しての礼状です。
財(宝)のなかで《いのち》こそが、一番であると示され、過去に雪山童子という修行者が教えを授かるために自らの《いのち》をささげた行動が、信仰の姿だと述べらました。
しかし、それは現実として無理なことです。そこで日蓮聖人は、「人として正しく生きる」という《志し》を立てることが大切とされ、私たちがこの教えを信じたとき、営みのすべては仏さまの教えの世界になると示されました。