身をやしない魂をたすけず
『千日尼御前御返事』/
弘安元年(1277)聖寿 五十七歳
今月の聖語
『千日尼御前御返事』/
弘安元年(1277)聖寿 五十七歳
=本当の生き方=
《身を養う》とは、経済や文化的な活動によって、人が生きていく上で必要な入れ物をつくる作業を指します。
《魂をたすける》とは心の営みのことで、入れ物に内容を注ぎ込み、充実させることです。
豊かなはずの現代社会に、漠然とした不安を感じるのは、この二つのバランスが崩れているからです。
今、私たちは《身を養う》ことに使うエネルギーに見合うだけの《魂をたすける》心の営みについて考えなくてはならない時を迎えています。
『千日尼御前御返事』
日蓮聖人の佐渡流罪中、千日尼は、夫の阿仏坊とともに聖人の教えに入信し、その生活を夫婦で支えました。
この書は千日尼からの供養の品への御礼と、女性の悩みの質問に答えた長文のお手紙です。
女性の成仏を中心に説かれた書ですが、聖人自身の信仰のあり方や、仏教について詳しく示されています。男女を問わず、人のあるべき姿について明 らかにされた感動の書です。
弘安元年(一二七七)
聖寿 五十七歳