早く天下の静謐を思はば
須く国中の謗法を断つべし
日蓮聖人御遺文「立正安国論」/
建治二年(一二七六年 聖寿五十五歳)
今月の聖語
日蓮聖人御遺文「立正安国論」/
建治二年(一二七六年 聖寿五十五歳)
「榜法禁断」
天下の平安、静謐は、仏法に信順し正法を信受することによってもたらされる。すなわち正法の建立がその前提であり、逆にいえば邪法の根絶・謗法(ほうぼう)の禁断が要請される。
しかるに世間のありさまは「如来誠諦の禁(きん)言(げん)」に反逆し、「愚侶(ぐりょ)迷惑(めいわく)の麁(そ)語(ご)」に随順さかさまぶりである。この現実の願うべき世の太平を乱し、望むべき静謐を疎外する。
とまれ法の乱れは国の乱れである。このように日蓮聖人は考え「立正安国論」の趣旨はこのことを仏説にもとづいて論述したのであった。「如来誠諦」とは「法華経如来寿量品」の文、釈尊の金言をいう。本仏の金言は絶対順守が要請される。本仏釈尊の要請に応えることが、仏教者の当然の行為である。かくて、禁断謗法は当然の事なのである。