先、臨終の事を習うて
後に他事を習うべし
日蓮聖人御遺文「妙法尼御前御返事」/
弘安元年(一二七八年 聖寿五十七歳)
今月の聖語
日蓮聖人御遺文「妙法尼御前御返事」/
弘安元年(一二七八年 聖寿五十七歳)
「喫緊(きっきん)の課題(かだい)」
日蓮聖人は、十二歳清澄寺(せいちょうじ)に登って仏教の修学に着手。四年後の十六歳、髪を剃り落として出家、是聖房(ぜしょうぼう)と名乗られた。登山につぐ第二の転機は仏弟子としての道を歩むことであった。四年間の基礎学の修得を卒(お)えてさらなる修学の志望をかきたて出家の道へと日蓮聖人をいざなった動機はいくつか知られる。
その主要で決定的であったのは無常観であり、人生無常苦・死の超克の問題であった。死は人生苦の集約であり、争乱にあけくれる中世のただ中に生きられた日蓮聖人は、そのことを日々に実感されたのである。そこから臨終の大事を解決することが何にも勝る優先課題、先決問題である、と思い定められた。