人の子、我が子、仏の子
朝のNHKドラマでこんなシーンがありました。東京で生活しているT君が夏休みにおじいさんのいる青森に行きます。近くの子どもと遊んでいたT君、海辺であやまってカニを殺してしまいました。たまたま通りかかった近くのおばさんが注意します。
「カニでも他の動物だって一生懸命生きているんだよ。その生き物を殺してしまうなんて、なんて事をするんだ。地獄落ちてしまうよ!」と。聞いていたT君がおもわず言いました。「僕、何で知らないおばさんにおこられないといけないの……?」
テレビを見ていて、まったくこの通りだと思いました。街に住んでいる子どもは、知らない人から声をかけられることもなく、まして怒られるなんて経験がないのでしょう。大人が自分の子どもや孫でも怒られなくなりましたから、まして他人の子どもを怒る事などまずしないでしょう。
そのドラマでこんな解説がありました。「今の子どもは、約六割の人が知らない人に怒られたことがないということです」。大変な数です。私の小さい時など、近所に大きな声をするおじさんや怖いおばさんがいました。自分の子どもだけでなく、近所の子どもでも悪いことは注意するのが当たりまえの事でした。
あるお寺の夏祭りでは、今でも子どもの参加も多く、子ども会の父兄やお寺の役員さんが一体となり催しを進め、我が子も人の子も同じように声をかけあっています。昔からのすばらしい姿を受け継いでいます。時代が変わっても、人の心まで変えてしまってはいけません。「いかに子ども接することができる」が、これからも大切なことでしょう。
ついつい逃げたくなる時もありますが、次の時代を担う子どもだからこそ、「人の子も、我が子も、仏さまの心を持っている大事な子」と、大切に接していきましょう。