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てらこや活動

レポート

更新日時:2011/11/22

10年後の寺院をデザインする

株式会社寺院デザイン代表取締役 薄井秀夫氏


株式会社寺院デザイン
代表取締役 薄井秀夫氏
今回は、株式会社寺院デザイン代表取締役の
薄井秀夫氏に御自身の活動と
寺院についてお話を伺いました。

寺院デザインの活動について
『寺院デザイン』という会社名を見聞きすると、多くの人は「寺院の伽藍をデザインする建設関係の会社?」と思うようです。しかし、実際は「10年後の寺院をデザインする」というコンセプトのもと、寺院の運営をデザインする会社、いわゆる寺院運営のコンサルティングを行う会社です。
この会社を始めようと思ったキッカケは、仏教情報誌の記者時代に「お寺はこれからの時代、もっともっと大切な役割を果たしうる。そのためのサポートを外部の視点からすることはできないか?」と思ったことです。また、私は、寺院はもっとメディアの力を使って広報すべきだと思っています。そうした視点で、寺院と一般の方々とを繋げるためのサポートにも力を入れています。
現在の主だった業務内容は、寺院運営の戦略や方向性などをつくりあげていくためのサポートをはじめ、永代供養墓の募集や寺報作成のサポート、ホームページの作成など様々です。最近、確かにメディアの力を使って広報を行なう寺院は増えてきていますが、メディアというのはあくまでも手段であり、結局は「何がやりたいか」「何を伝えたいのか」という明確なビジョンがないと宝の持ち腐れになってしまいます。宣伝をすることやホームページを作成することが目的ではなく、一般の人々に寺院に来てもらうこと、深い関係をつくること、そして仏教や安心を伝えることが重要なポイントになってくると思うので、そのような方向に進んでいけるようサポートしていきたいと思っています。
 
寺院のあり方
戦前、多くの寺院は広い土地を持っており、その小作料などの地代収入が財源のひとつでした。ですが、戦後は農地解放の影響を受け、多くの寺院が土地を失い、布施収入への依存が高まっていきました。幸い戦後の高度経済成長期やバブル期、経済が上向きの時代は日本全体が裕福だったので、自ずと布施収入も増えていきました。しかし、バブルが崩壊し経済不況に陥った今日では、「自分の暮らしもままならないのに、お墓や法事にお金をかけることはできない。」という人が増えたこともあり、これまで通りの経済基盤を維持することは難しいでしょう。当然、布教教化の手段も変えて行かざるを得ない。つまり、新しい布教モデルを確立する必要があるのです。
しかしながら、もうひとつの側面から考えると、「寺院や僧侶は必要ない」「戒名はいらない」と言っている人も、実は心の底ではそう思っていないはずです。少し乱暴な言い方をすれば、金銭的な問題さえ無ければ、誰もが葬儀をしてほしいだろうし法号(戒名)も授けてほしいはずです。人々の心が完全に寺院から離れていないのであれば、今日の状況を打破する可能性があるのです。そのためには、いかに人々を寺院と結びつけるか、つまり「結縁」が必要になってくるのです。

寺院に求めること
私は、仏教・寺院は素晴らしいものであると思っています。お釈迦様の教えを伝える、法事を行なう、ご祈祷をする、社会貢献をする、それらのことで多くの人々が救われています。寺院という存在が人々の心にやすらぎを与えているのです。私は、寺院の価値・可能性を信じています。そして、素晴らしい存在である寺院の手助けをしたいと思っております。

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