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日蓮聖人のルーツに触れる
千葉・清澄寺への旅!
日蓮聖人ゆかりの地を巡る旅・記念すべき一回目は、旅記者オーハシがルーツをたどって千葉へ。
日蓮聖人が生まれた港町や、立教開宗の地を訪れ、早朝の法要にも参加しました。
果たして、どんな旅になったのでしょうか?!
港町・鯛の浦をのんびり散歩
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外房の海に面する千葉県鴨川市小湊は、日蓮聖人が生まれた場所。日蓮聖人の生誕時には、鯛が群れをなして海面にあらわれたという伝説があり、この海は鯛の浦(または妙の浦)と呼ばれています。ここでは、鯛は日蓮聖人の化身とされているため、決して獲らないそう。
ひなびた港町を散歩すると、標識や観光遊覧船の施設などの至る所に、「日蓮」の名を見つけることができます。今も日蓮聖人はここに息づいていることを、実感します。
「ちょっと、これ食べて!」と声をかけてくれた誕生寺参道の土産店「松孝」の亀崎さんは、この道約40年。朗らかな笑顔に誘われ話し込むうちに、鯛せんべいにぼんたんなど次々と試食を勧められ、気づけば満腹に(笑)。都内ではありえない、港町のおばちゃんならではの太っ腹なおもてなしに、軽くカルチャーショックを受けました!
港町のおばちゃんは
さすが、豪快~!!
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日蓮聖人の生家跡地を訪ねて
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次に、港から100m程しか離れていない、日蓮聖人の生家跡地に建立されたお寺・誕生寺を参拝します。迎えてくれるのは、立派な仁王門。奥に続く日蓮聖人像のある祖師堂のほか、客殿や宝物殿などの展示も豊富で、見ごたえがあります。
境内では、12歳の日蓮聖人を模した像がまっすぐに海を見つめています。約800年前、漁師の息子だったという日蓮聖人も、きっとこうして激しく波のうねる外房の海を見ていたはず。この海と、亀崎さんのように温かい漁村の人々に育てられ、成長していったんですね。
町の方と会話をすると、自然と誕生寺の歴代住職の名前が出ます。そして、港の遊覧船には、丁寧に祀られた誕生寺のお札が。誕生寺というお寺の存在が、生活にしっかり結びついていました。
日蓮聖人の家って
こんなに海の近くだったんだ!
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神秘的な趣の清澄寺で深呼吸!
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続いて、誕生寺から車で約20分、同じく鴨川市の山奥にある清澄寺に到着。日蓮聖人が出家し、立教開宗を宣言したことで有名なお寺です。
着いた瞬間、「あ!空気が違う」と思わず深呼吸し、大きな杉の木を見上げます。杉といえば、境内にある巨大な霊木“千年杉”も見どころ。長い歴史を物語る古杉は、日蓮聖人のこともきっと見守っていたはずです。
清澄寺に勤めている村田上人に清澄寺の魅力を聞きました。
「清澄寺は、自然あふれる山寺。この湿気、すごいでしょう(笑)。このしっとりと静かな空気が、参拝者を落ち着かせてくれる。“信仰”が体に染みるというか、『何かありそう』と思わせる力があります。日蓮聖人を慕って参拝する方が多いですが、迷いのある方や祈願をする方もよくいらっしゃいます。日蓮聖人が勉学を始めた場所であり、今も若い僧が多く修行しているので、訪れる方々と共に学んでいける寺でありたいですね」。村田上人の語り口は、意外にもユーモアたっぷり!肩肘張らずにお話できました。
山に囲まれた静かなお寺は、
まさに異空間!落ち着くなあ~。
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お題目を唱える修行 「唱題行」を初体験!
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立教開宗の前日ということで、たくさんの方が集まっていました。翌日早朝の「暁天法要」に備え、研修会館で1泊します。
夜は、約100名ほどの信徒さんと「唱題行」という修行に参加。真っ暗な空間で、太鼓の音にあわせて参加者全員で「お題目(南無妙法蓮華経)」を唱え続けます。会場中に響き渡る大合唱は、かなりの迫力。何度も唱えているうちに、次第に頭の中がからっぽに。1時間程の修行が終わると、思い切り声を出した心地よい爽快感に包まれます。
お風呂では、ご一緒したおばちゃんとおしゃべり。なんと、長崎から来たそう(!)。旭が森のご来光はなかなか見れず、運良く出会えると思わず涙がでるほど感動するのだとか。期待が高まります!
声に出してお題目を唱えると
気分もスッキリ!
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旭が森で日の出を待つ
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朝4:30、霧が立ちこめるなか始まった「暁天法要」。太鼓を叩き、お題目を唱えながら、10分ほど歩きます。目指す「旭が森」は、見渡す限りの山と海を臨め、日本一早く朝日が見られる絶景スポット。
旭が森に着くと、日蓮聖人銅像を前に皆で声を合わせてお題目を唱え、日の出を待ちます。約760年前の4月28日、日蓮聖人はここで初めてお題目を唱え、教えを広める決意をしました。昨夜のおばちゃんはこの法要で、「素晴らしい教えを残してくださった日蓮聖人に、感謝の気持ちを込めて」お題目を唱えるそう。集まった約20人の様々な背景を持つ人が、様々な思いで唱えるお題目を聞きながら、「日蓮聖人は、私たちに何を残してくれたのだろう」と思いを馳せます。
本日は霧のため、残念ながらご来光は拝めず。
晴れた景色を想像しつつ眼前を見つめるうちに、ふと思い出したのは村田上人の言葉。「私はここで日の出と、空、海、森を見て、日蓮聖人がなぜここでお題目を唱えたのかを考えたんです。人に伝えたいというのはもちろんですが、何よりもまず天と地に伝えたかったのでは、と思うんですよ」。
実際にご来光を見ると
どんな気持ちになるんだろう…?
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朝勤で、朝から気分爽快に!
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下山後は江戸時代に建立されたという大堂へと移動し、朝勤に参加。日蓮聖人は16歳のとき、ここで虚空蔵菩薩像に「日本第一の智者になりたい」と願をかけました。
今日4月28日は、実は3月11日の東日本大震災の49日にあたる日。日蓮聖人だけでなく、被災した方々へも祈りが捧げられました。
朝の清々しい空気に包まれながら、背筋を伸ばしてお経に耳を傾けていると、体の中がスッキリと清浄なもので満たされていくような気持ちに。
一時間ほどで朝勤が終了。考えてみれば、この面々で祈りを捧げるのは最初で最後、まさに一期一会。不思議なご縁を共にし、「信仰」の姿を垣間見せてくれた皆さんに別れを告げ、清々しい気持ちで帰路につきました。
朝のお勤めって、爽快~!
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今も息づく信仰を肌で体感した旅でした!
小湊の生活に溶け込む誕生寺の存在、そして清澄寺で出会った日蓮聖人を慕う人々。今回の旅ではさまざまな形の“信仰”に触れました。信仰の場は、“思いが集う場所”なんですね。特に清澄寺では、それを色濃く感じました。そして、千葉の港町や山奥で出会った数々の明るい笑顔にパワーをもらえた気がします!訪ねた風景や、おばちゃんたち、村田上人の言葉から私なりに思いを巡らすうちに、ますます日蓮聖人に興味が湧きました。次回が楽しみ!
- 今回うかがったお寺
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誕生寺(〒299-5501 千葉県鴨川市小湊183)
受付時間:9:00-15:00 拝観料大人500円(小人100円)
朝のおつとめや唱題行に参加可能。
詳しくはHPをご覧ください。 -
清澄寺(〒299-5505 千葉県鴨川市清澄322-1)
毎朝の朝勤のほか、宿坊(研修会館)や写経、精進料理の体験が可能。
暁天法要以外の日程でも、旭が森のご来光は自由に参拝可能です。
詳しくはHPをご覧ください。
※旭を見るなら、夜着いて一泊、朝勤後に帰るという「弾丸ツアー」もオススメ!