日蓮宗メールマガジン12月号
【今月の法話】
〜銀杏の木の下で〜
見上げれば、目が眩むほどの黄金色の大木。
この季節、どの木々よりも黄色を増し、どっさりと扇を地に垂らす銀杏の葉。
そこに空っ風が吹き去った途端、早朝より竹箒で撫でたであろう庭は瞬く間に黄色に染まる。さらに吹き続ける北風に止むことをしらず。やがて、地に積もった黄金もどこかに吹き飛ばされてしまう。
法華経に、このような光景がある。「天上界の天人たちが仏さまのために菩提樹の下に座を用意しておきました。仏さまはここにお座りになって、さとりを得ることになっております。そして、仏さまがそこにお座りになった時、天上界から色々な華が降ってきました。
その華がたいそう積もりますと、香風が吹き、しぼんだ華を散らしました。その後、また新たにたくさんの華を降らしました。このようなことを、たいへん長い間繰り返し仏さまを供養しました。・・・化城諭品第七」
天上界からきれいな華が次から次へ降り注がれた。積もり積もった華はやがてしぼんでくる。そこに風が吹き、華を一掃する。また、新たな華が降り続ける。この繰り返しは、仏さまの教えが常に新鮮であるということを表現している。お釈迦さまの時代から私たちが暮らす今日まで受け継がれてきたこの教えは、お経文の一字も変えることなく、その時代に適した教訓で私たちを戒め、支え続けているのだ。美しい華が振り積もると風が吹き払ってまた、新たに降り積もる。この美しい情景の繰り返しは、いつの時代も人々がこの教えに寄り添い帰依してきたことを意味している。
さて、目の前の出来事に戻ってみよう。先ほどの一陣の風によって積もった黄金はお足がついてどこかに行ってしまったらしい。積むだけでなく回さねば、潤わぬというのか?
【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
7日 月例金曜講話
8日 成道会
良いお年を。