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日蓮宗メールマガジン8月号

「今が人生で1番若い」

「人間、今が一番若いんだよ。
明日より今日の方が若いんだから。
いつだって、その人にとって今が一番若いんだよ。」

国民的ヒット曲『上を向いて歩こう』の作詞をつとめた事でも知られる、永六輔さんのベストセラー『大往生』に綴られている言葉です。
この言葉がいま胸に響いたのは、私自身が30代を迎え肉体の変化を身に染みて感じるようになったからかも知れません。
肩こり、腰痛、体の冷え、ポッコリしたお腹。
これまで気にもしなかった体の不調をここ数年で感じるようになりました。

命あるものは年老いて、病気になり、やがて死を迎える。「生老病死」「四苦八苦」は誰一人逃れることの出来ない苦しみであると、お釈迦様はお説きになられました。

年齢を重ねて「あの頃は良かった」「あの時ああすれば良かった」とついつい振り返ってしまうことがあります。一方、逃れたいことがあると「明日やればいいだろう」「また次があるだろう」と後回しにしながらも、未来に不安を感じる事もあります。

「過去を振り返ってはならない。
未来を追い求めてはならない。
過去、それはすでに捨て去られたものであり、
未来はまだ得られていないものである〔からである〕。
だから、ただの今、現在しているもの、そのひとつひとつについて〔よく〕観察し、
支配されることなく、動揺することなく、そのことを覚知して、〔仏道を〕修行せよ。
今日なすべきことのみに心を傾けよ。
誰が明日の死を知ることができようか。
なぜなら、死魔(しま)(死神)の大軍勢、
彼らと〔いつまでも〕戦わない〔で済む〕者などいないのだから。
このように住し勤(いそ)しみ励むもの、
昼夜に常精進する者、
その者こそ、“吉祥なる(賢い)一夜における、
寂静に到達した聖者(しょうじゃ)“であるといわれる」(鈴木隆泰著:『本当の仏教 第5巻』より引用

『マッジマ・ニカーヤ(中部経典)』第3巻所収の『吉祥なる一夜(一夜賢者)経』に説かれた教えです。

過ぎ去ったことでいつまでも、後悔するのは止めましょう。
来てもいない未来に過剰に期待を寄せたり、不安になったりするのは止めましょう。
そんなことをしている間に、今というかけがえのない時間は過ぎ去っていきますよ。
ただひたすらに、この一瞬一瞬に目をむけて生きることが大切ですよ。
とお釈迦様はお説きになられております。

当たり前のように明日が来るという保証はどこにもありません。
「今」という一瞬も「今」と感じた瞬間に消えて無くなってしまいます。そう考えるとこれから過ごしていく一瞬一瞬はとても尊いものに感じられるのではないでしょうか。

これからの人生で1番若いのが「今」です。
「今」という瞬間を意識し、与えられた有限なる命を輝かせていきましょう。

参考書類
『本当の仏教 第5巻』 鈴木隆泰 著
『大往生』       永六輔  著

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
13日 お盆迎え火・宗務院休業(14日~15日)
15日 戦没者追善供養(於:千鳥ヶ淵戦没者墓苑)、妙蓮尊儀忌、終戦記念日
16日 お盆送り火
27日 松葉谷法難会
28日 いのりの日