ホーム>日蓮宗メールマガジン>日蓮宗メールマガジン3月号

過去のメールマガジン

日蓮宗メールマガジン3月号

「冬を越えて」

今冬は「10年に1度の大寒波」といわれたように全国的に寒さが強く、多くの地域が降雪に見舞われました。
この大雪は日本列島の各地に被害をもたらし、高速道路は至る所で通行止めになっておりました。普段雪の降らない地域の方々は慣れない降雪に大変な思いをされた事でしょう。処によっては何十キロにもわたって長時間の立ち往生が起きる事もあり、通行が再開し渋滞が解消するまでに丸1日~2日を費やす程の大混乱となっておりました。
そのような中、高速道路関係者の方々が雪に埋もれた車を一台一台、スコップで排雪し、ドライバーに水や食料を配布する姿がニュースで報道されていました。そのような姿には大変感銘を受けます。

私の住んでいる北海道も、地域によっては例年より雪が多く降り積もり、生活に支障が出ている所もありました。毎年の事ながら、除雪作業中の事故、雪の重みによる家屋倒壊や吹雪による遭難のニュースを見るにつけ、遺族の心中を察すると大変辛い気持ちになります。

しかし、雪も決して悪い事ばかりではありません。
北海道の米農家さんによると、冬に雪が少ないと心配になる事があるようです。冬に沢山の雪が田んぼに深く降り積もりますと、春になった時その雪が徐々に解け、田んぼが満たされていきます。この雪解け水を含んだ田んぼに田植えをするからこそ、おいしいお米が出来上がるそうです。雪は生活において少ない方が助かりますが、北海道の田畑にとっては作物の成長に必要なものになります。田畑に積もる雪が春になると潤いをもたらすように、訪れる苦難を人生の糧と出来れば喜ばしい事です。

日蓮聖人は『妙一尼御前御消息』で次のように御教示しています。
「法華経(ほけきょう)を信ずる人は冬のごとし、冬は必ず春となる。」

この御遺文は、熱心な信徒である妙一尼(みょういちあま)という方にあてられたお手紙です。妙一尼は夫を亡くし苦難の中でも信心に励んでいました。
日蓮聖人は「冬はどんなに長く辛くとも必ず春を迎えます。法華経を一心に信仰しているあなたは、必ず苦難を乗り越えられます」と励まされています。
困難の渦中にあった妙一尼ですがこのお気遣いをありがたく感じ、より信仰を深められました。辛い事が大きければ、その分きっと幸せは光り輝きます。苦しみを克服する事は、すぐには難しいですが、いつかはそれを糧にできればと思います。

この季節、お檀家さんの家へお参りに行きますと必ず座布団を温めて下さっている家庭があります。仏壇のある部屋だけ暖房を利かせて下さる方もいらっしゃいます。電気代も灯油代も値上がりしている中、そのお心遣いが本当にありがたく思います。どれだけ寒くても、人の思いやりで心が温まり幸せを感じます。辛い事の中にも幸せはあり、今は苦しくとも必ず光明は差して来ます。
厳しい冬だったからこそ、それを乗り越えた先に暖かで幸せな春を迎えればいいなと思うばかりでございます。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
8日 日頂上人会
16日 道善御房忌
18日 彼岸入り
20日 宗務院休業
21日 春季彼岸中日
24日 彼岸明け
26日 日昭上人会
28日 いのりの日