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日蓮宗メールマガジン1月号

「命の期限について考える」

私が中学生のころから応援しているジャニーズのアイドルグループKAT-TUNの亀梨和也さんが美容雑誌のマキアで毎月さまざまなテーマに沿って連載をしている。2023年1月号では「命」という大きなテーマについて話をしていた。表題には「命の期限を理解すると前向きに人生を捉えられる日々をより大切にえらびたい」という言葉。
『芸能の仕事は、日々、“命懸け”。であるというのは少し大げさではあるかもしれないけれど、スポットライトを浴びながら自分を表現し続けることは心にも体にも命を懸けるくらいの強烈な負荷がかかっている。20代まではその負荷は自分を奮い立たせる材料でしかなくて“命の重み”なんて考えることもなかった。30代半ばになって、コロナという予想外の事態が起こって世界が変化した影響もある。長年一緒に生きてきた愛犬の最後を看取ったことは、人生観が一変するほど大きな影響があった。子供のころからハードに仕事をし続けていて、責任という荷物も背負いがちな性格だった。だからこそ、同世代よりも少しだけ早く心身が摩耗している感覚もあるから。最近は、もっと自分を大事にメンテナンスしてあげなきゃと思うようにもなったかな。限られた命をいかに大切に使うか、どう使い切るか。大好きな仕事を続けていくためにも、自分の心身と向き合って、プライベートも大切にするような生き方をプランニングしていきたいとも思う。』とつづられている。
(集英社マキア 2023年1月号亀カメラより一部抜粋、引用)

私達には必ず命の期限がある。日常生活を送っていて、あまり「命の期限」について考えることは少ないのではないかと思う。マイナスのイメージがあり怖いという印象を持っている人が多いのではないかと思う。
私自身は僧侶をさせていただいているということもあり、人の最期に出会うことが多く、そのため上記の亀梨さんの連載を読みながらキラキラしたアイドルも命の期限について考えていることに驚いたと同時に、この連載を読みながら日蓮聖人が「人生の最期」について説かれたお言葉が思い浮かびました。

日蓮聖人が57歳の時に妙法尼という方に宛てられたお手紙に次のように説かれている。
「人の寿命(いのち)は無常(むじよう)なり。出(い)づる気(いき)は入(い)る気(いき)を待(ま)つ事(こと)なし。風の前の露(つゆ)、尚譬(なおたとえ)にあらず。賢(かしこ)きも、はかなきも、老(お)いたるも、若きも定(さだ)め無き習(なら)ひなり。されば先(まづ)臨終の事を習(なら)ふて後(のち)に他事(たじ)を習ふべし」(『日蓮聖人全集 第四巻 信行 「妙法尼御前御返事」』)

現代の言葉に訳すと「人の寿命は無常であって、吐く息は、吸いこむ息を待つ間もないくらいであり、風の吹く前の露のようなもので、いつ散ってしまうかわからないものである。賢い人も、そうでない人も、老人も若い人も、すべていつ死を迎えるか定めのないことである。そこでまず臨終のことをよくわきまえて、その後で他の事を考えるべきである」(『日蓮聖人全集 第四巻 信行 「妙法尼御前御返事」』)と。
無常とはこの世界のものは、すべてが常に移り変わっており、少しも同じ状態に止まらないこと。転じて、死を意味する。命ほど尊いものはないといいます。自分の人生の最期、臨終を迎えるということを真摯に受け止め、命の期限を覚悟した生き方が出来るよう、新しい年になったからこそ自分の命の期限について考えてみて下さい。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

1日 日持上人会
10日 宗務院業務開始・御用始め
13日 身延山御年頭会
21日 日朗上人会
27日 特別講話
28日 いのりの日