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日蓮宗メールマガジン10月号

「首のシワはしあわせのギャザー」

朝夕の冷え込みに、秋の訪れを感じます。実に気持ちのいい季節ですが、強い紫外線を浴びた夏のダメージが肌に現れやすく、乾燥も気になり始めます。
マスク生活の思わぬ恩恵で、顔の肌トラブルの大部分は隠しやすくなりましたが、年齢が現れやすい首元はそうはいきません。
鏡を前に首のシワと向き合ってみます。
「一本…二本…おや、ここに薄い一本が…新入りかな?」
現状を受け止めつつ、あくまで楽観的です。
なぜならば、首のシワは仏様にとって重要な存在。仏像や仏画を拝観される際、ぜひ仏様の首元にご注目ください。きっと伸びやかな横線が三本、首元に引かれているはずです。
仏様のお姿には三十二個の身体的特徴と八十個の細やかな特徴があることが「三十二相(さんじゅうにそう) 八十種好(はちじゅうしゅこう)」という言葉で『法華経』をはじめ、多くの経典に記されています。その特徴の一つが、首に伸びやかな横線を三本引く「三道相(さんどうそう)」。
これは仏様が悟りを得るまでに
① 正しく物事を見る「見道(けんどう)」
② 正しく修行を行う「修道(しゅうどう)」
③ 修行を積み、学ぶことが無くなる「無学道(むがくどう)」
という三つの段階を経たことを表すと同時に、柔らかく和やかな心で満たされたふくよかなお姿を表現しています(三道を「煩悩・業・苦」の三つとするなどの諸説あります)。
年齢とともに、私たちの身体にも現れるシワ。これもまた、一歩一歩、人生の修行を乗り越えている証しとして受け止めてみてはどうでしょう。首のシワは“仏様とおそろいの”しあわせのギャザー。そう心に思い楽しみ、豊かな実りの秋を味わいたいと思います。

参考文献『日蓮宗事典』日蓮宗宗務院
『写真・図解 日本の仏像』薬師寺君子(2016).西東社

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

10日 佐渡法難会
13日 宗祖御会式・宗務院休業
28日 いのりの日