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日蓮宗メールマガジン8月号

「リメンバー・ミー」

お盆が近づくと毎年観たくなってしまうのが、ディズニー映画の『リメンバー・ミー』です。
メキシコの「死者の日」という、亡くなったご先祖さまが年に1度だけ帰ってくる日をテーマにした作品です。観たところ日本のお盆とよく似ているようです。

『リメンバー・ミー』では、人の死は2度訪れると言われています。
1つ目が、現世における「肉体の死」
2つ目が、死者の国における「魂の死」

この世で肉体的な死を迎えたとしても、家族や知人が存在を語り継いでくれれば魂はあの世で生き続けられます。
しかし、完全に忘れ去られた時に2度目の死が訪れるというのです。

あくまで物語上の設定ではありますが、この死後の考え方には感慨深いものがあります。
「自分にもいつか死が訪れ、やがて誰の記憶にも残らなくなってしまう。その時自分はどんな気持ちになるのだろうか。」
と自分に置き換え考えてしまいました。

お盆の過ごし方は人それぞれかと思います。
家族でどこかへ旅行にいく方もいれば、お仕事をされている方もいるでしょう。
せわしない日々の中ですが、少しでもご先祖さまに思いをはせてお題目を唱える時間をつくっていただきたいと思います。

お盆の棚経で、1人暮らしをされている90歳の女性のお宅に伺った時のことです。

「お元気そうでなによりです!」
と私が挨拶をすると
「は~い!おかげさまでなんとかやっておりま~す!やっぱりお盆のお経を上げてもらわないと、落ち着かなくてぇ。でも、今日はお家の中が賑やかで嬉しいです。」
おばあちゃんは元気に答えてくれました。

ところが、家には私とおばあちゃん以外誰もいないのです。
(もしかして、息子さん家族が帰ってくるのかな?)
と考えていると、おばあちゃんは続けて言いました。
「お盆でみんな帰ってきてくれている気がしますから!今日は思い出にふけりたいと思 いま~す!」
(そうか!亡くなった家族が帰ってくるから賑やかなんだ!)

お経を終えると、70歳から書き始めたという自作のエッセイ集を見せてもらいました。
そこには、エッセイを書き始めて間もなく急逝したご主人への愛情がありのままに書かれていました。
1人で寂しさを抱えるおばあちゃんにとって、お盆は特別で幸せな日なのだと分かりました。

ご供養するだけじゃない。一緒に過ごして、心の中でも思い出を語り合うということ。
人生の大先輩からお盆の過ごし方を学んだ、素敵な出来事でした。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

4日 土用二の丑
13日 お盆迎え火・宗務院休業(13日~15日)
15日 戦没者追善供養(於・千鳥ヶ淵戦没者墓苑)・妙蓮尊儀忌
16日 お盆送り火
27日 松葉谷法難会
28日 いのりの日