ホーム>日蓮宗メールマガジン>日蓮宗メールマガジン6月号

過去のメールマガジン

日蓮宗メールマガジン6月号

「田植え前、ほんの少しの間」

ゴールデンウイーク前の一刻

私の住む新潟では いちめん 水面(みなも)が現れます。

田植え前の準備の一環で、ゴールデンウイーク明け、本格的に田植えが始まればすぐに稲の葉の緑が景色を一変することでしょう。

それはそれで楽しみなんですが、いちめんの水面を見ながら、その間を貫いている農道をゆっくり進むのが私はとても好きです。

水面をゆっくり進んでいると鳥たちがしきりに田んぼの中を啄(つい)ばんでいます。耕されて地中から出てきたミミズやカエルなどを食べているのでしょうか。

生命のダイナミックさと水面の静けさの調和がとても不思議で何とも言い難い光景をもたらしています。

上記の光景に似た話がお釈迦様の幼少期にもあります。
「樹下観耕(じゅげかんこう)」と言い、
農夫が田畑を耕している鍬が地中のミミズの体を引き裂き、そのミミズを小鳥が啄ばみ、それを狙って大きな鳥が小鳥を捕食する。
その様子を樹の下で瞑想しているお釈迦様が観察して思いを巡らすというお話で、幼少期から生死に深い関心があったことを示す話として今も語られています。もちろんその後、悟りの境地へと歩まれるわけです。

2千年以上前の話ですが、鍬がトラクターに変わったぐらいで根本的には今とさほど変わらないように感じます。

お釈迦様も同じような景色を観ていられたのかと思うと感慨深いです。

今、私の目の前に広がる景色と、昔お釈迦様が観てこられた景色と変わらない部分があるならば、今の私もお釈迦様になったつもりで、お釈迦様の目線で田んぼを観ることができるのでしょうか?

なかなか難しそうですが、だからこそ、仏教を学び修行を続けている理由がそこにあるのです。
いつか、境地に至るまで修行を続けていきたいものです。

いつになるやら検討もつきませんが、
しかしいまは、目の前に続く農道の美しい景色に心寄せながら、ただただゆっくり進みたい気分です。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

15日 開闢会(15〜17日、於・身延山)
25日 日朝上人会
28日 いのりの日