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日蓮宗メールマガジン4月号

【今月の法話】

〜さまざまの こと思ひ出す 桜かな〜

桜の綺麗な季節がやってきました。文頭の俳句は松尾芭蕉の俳句です。

さまざまなことを思い出すと芭蕉も言っているように桜の花は日本人の情緒を刺激し、古来よりたくさんの日本人が桜の詩を詠んでいます。

しかし、最近はめっきり詩を作る、詠むという文化が薄れてきたと思います。
昔は娯楽の一つとして重宝されていましたが、最近の娯楽はインプットのものが主流みたいでアウトプットな遊びというのは、減ってきている一方だとつくづく感じます。

それは、情報が溢れている社会では当たり前のことだとは思うのですが、それでは「考える」「感じる」という能力が低下する一方です。

情報が溢れていない昔では、アウトプットな遊びが主流で心の豊かさというものが現代人より遥かに優れていたと思います。

極端に昔ではありますが、平安時代の『古今和歌集』の序文で紀貫之は「生きとし生けるもの、いづれか、歌を詠まざりける」と言っています。
「この世に生を受けているものすべて、誰が歌を詠まなかったか、いや詠まないものはなかった。」という意味です。

花に鳴く鶯、水に住む蛙もその鳴き声を聞くと皆楽しそうに歌を詠んで楽しんでいると紀貫之は感じていたようです。
もしかしたら私たちが言葉を喋るのと同じように鳥や虫などもそれぞれの言葉を使い、詩を詠んだり、お喋りをして楽しんでいるのかもしれません。

時代が移り、鎌倉時代、
宗祖である日蓮聖人は『波木井殿御書』
吹風も、ゆるぐ木草も、流るる水の音までも、此山(身延山)には妙法の五字を唱へずと云ことなし。」と仰られています。

これは、身延山に吹風も、ゆるぐ木草も、流れる水の音までも、妙法の五字(お題目)を唱えているという意味で、
日蓮聖人には、自然界のものすべてがお題目を唱えているように聞こえ、またその境地である常寂光土におられたのです。
紀貫之にしても日蓮聖人にしても、やはり聞き手である人の心の豊かさが違うのですね。

ここ数十年で科学は急激に進歩しました。多分それは、時間を省き、省いた時間をもっと有意義なものに使う為に行われてきたことだと思います。

しかし、ハイテクが省いてくれたはずの時間はどこへ消えてしまったのでしょうか。
以前にもましてストレスやプレッシャーを感じて辛いと感じているのは私だけでしょうか。
実際、子供たちはいつだって大人に「急いで」「早く」「グズグズしないで」とせかされ、子供たちも忙しそうにしています。
では、この忙しい社会でどのようにして心を豊かにしていけばいいのでしょうか。

それは、日蓮聖人、紀貫之に習い、自分を含む万物との価値観を同じにしなければなりません。

人と人とは当たり前。情なるものと非情なるものを別なものと捉えたり、考えたりせずに、差別を無くし、全ての命の価値は平等であり、敬うべき存在に値するとまで考え、感じることが出来れば完璧だと思います。

永続的に感じるのは難しいことです。まずは、気をかけるというところから初めてみてはいかがでしょうか。

例えば、紀貫之のように歌を作ってみてもいいかもしれませんが、
日蓮聖人を習い、日々、お題目を唱え、仏道修行を行えば、今よりももっと回りを見渡す機会が増え、忙しい社会でも心の平穏が保たれ、心の豊かさに繋がるでしょう。

 

【お知らせ】

日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。

5日 月例金曜講話
8日 花まつり、宗務院休業
28日 立教開宗会、いのりの日

日蓮宗ポータルサイトでは「行きつけのお寺をつくろうプロジェクト」をスタートしました。
※詳細は、専用ページをもってご説明させて頂きます。
プロジェクト第2回目の今回は、ドキュメンタリー映画「happy」の上映会を通して “幸せについて考える” というイベントを開催致します。
上映後には、「幸福途上国ニッポン〜新しい国に生まれかわるための提言〜」の著者目崎雅昭さんのトークイベント。今、私たちに問われていることは何かをお聞きしていきます。

期 日      平成25年4月16日(火)19:00〜開演予定
場 所    東京都品川区東五反田  本立寺 JR五反田駅より徒歩10分
参加費      1000円
人 数   先着順70名分
問合せ   日蓮宗宗務院伝道部
tel    (03)3751-7181
mail          denndo@nichiren.or.jp
共 催  寺子屋ブッダ

ぜひ、ご友人お知り合いをお誘い合わせの上ご来場下さい。