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日蓮宗メールマガジン8月号

【今月の法話】

〜大雲〜

白雲抱幽石「はくうん ゆうせきをいだく」

これは盛夏に茶室に掛けられる有名な禅語の代表格である。

それに似せたのか、茶席に大雲抱雄石「たいうん ゆうせきをいだく」という軸が

よく掛けられていた。奈良の石舞台のような大きな石も夏の大空に広がる

大きな雲にすっぽりと覆われてしまう。そのように、人間の悩みなど、自然の雄大さに

比べればちっぽけなものだと先生から幼いころに聞かされた。毎年目にするこの掛け軸は、情景が目に浮かびやすく、自然と人とはスケールが違うものだと納得していた。

しかし近頃、自然の中に人の存在が組み込まれているというより、

人の想念が世の中を動かしているという傾向が強いと感じることがある。

経文の中にも「大雲」が出てくる箇所がある。

・・・譬如大雲 起於世間 遍覆一切 慧雲含潤・・・「たとえばだいうんの

せけんにおこって あまねくいっさいをおおうに・・・」

大きい雲が地上のあらゆるものを覆ってしまう。実はその雲は潤いを含んでおり

雷を起こしたり、日の光を遮ったり、必要に応じて潤いの雨をもたらしたりと仏の智慧を

雲に譬えて「慧雲」と表現している。

猛暑日が続くとつくづく一雨の必要性に駆られる。慧雲から等しくそそがれる雨は

それを受けるものの分に応じて吸収されていく。

仏が世間に出てこられるということは、大雲のようである。まるで枯れた木草のような

潤いのない人々の心に雨を降らし人生の一味を教えてくれているようなものだ。

今日は一雨あるであろうか。夏空の元で人々の乾きは続いている。

【お知らせ】
日蓮宗宗務院伝道部より、今月の予定をお知らせ致します。
3日 月例金曜講話
13~15日 日蓮宗宗務院休業
15日 戦没者慰霊法要(於 千鳥ヶ淵戦没者墓苑)
27日 松葉谷法難会
28日 いのりの日