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宗務院からのお知らせ

支援

2012.04.26

東京教化伝道センター第3回復興支援活動報告

日程:平成24年4月26日(木)~27日(金)

実施場所: 宮城県七ヶ浜町及び女川町

主催:東京教化伝道センター・協力:日蓮宗ビハーラネットワーク・日蓮宗女性教師の会・輪母の会・後援:日蓮宗宗務院伝道部(宗門運動復興支援活動)

参加者: 東京都東部:髙松孝行・横山智公・野口泰宏・藤井教祥・甲州晶洋・持田貫信・東京都西部:澁澤光紀・及川一晋・黒津泰伸・東京都南部:吉田尚英・三井妙真・富田泰陽・東京都北部:渡邉彰良・日蓮宗ビハーラネットワーク:柴田寛彦・渡部公容・近澤雅昭・女性教師の会:大島豊扇・松野蓮香・亀井妙禮・齊藤澄泉 ・輪母の会:古澤昭子・早崎淳晃・三重県:高鍋鳳憲・現代仏教:尾谷卓一・七ヶ浜立正結社:加藤錬榮

実施内容

【男の料理教室】(料理教室料理指導協力・地元ボランティアサークル『結の会』)
地元でカフェや料理教室を開くボランティア活動を15年来続けてきた「結の会」から4人の女性が、一人ずつ各班の調理を指導。「結の会」のメンバーは津波の被害を免れた地区の方々で、家や家族を流された地元被災者との間でわだかまりが大きかったことを教えていただいた。今回のような集まりも外部の主催の方がやりやすいとのこと。

 

最終的に参加者は19名。地元寺院の信者、町会議員や町役場の職員、ボランティアセンターのボランティア(被災地外の人)という構成で、20代から70代。顔見知りが多く、調理中・食事中とも会話が弾んでいた。
シーフードカレー・春キャベツと新玉ねぎのコールスローサラダ・フルーツヨーグルト。予、贅沢な食材でおいしい料理が完成した。(食材費、約31000円、約40人分、参加費300円)

【「慰霊供養」と「信者さん宅訪問」】
慰霊は、菖蒲田浜海水浴場の水難者慰霊碑(以前からあった慰霊碑が津波で二つに折れて埋め直されていた)の前で行った。仏具はすべて加藤師によって用意されており、慰霊碑までの道中に叩いた団扇太鼓は、津波で建物ごと流されたが後に発見されたものだという。風が強い中で、一同声を限りに読経供養をする。
その後に、立正結社の被災した信徒さん達の御宅を訪問して、被災時から今までの体験をお聴きする。 初めに行政が買い上げた住宅にすむ信者さんに、いち早く避難所を出て自立していった経緯を聴く。次に菖蒲田浜で最も高い波(12mか)が来たという民宿「とと屋」を営む信者さんに、「祖師像」のみを持って逃げた事、背中を掴まれた気がして流されなかった話などを聴く。次の仮設住宅では信者さん宅を二軒訪ねたが、最初の渡辺家では震災前から立正結社の信行会に参加して「立正安国論」としっかり言える小学4年生の少女と会え、加藤師のしっかりした教導と信徒さん達との親密な固い絆をよく知ることが出来た。また信徒宅訪問では、信仰の力を感じるエピソードも多く聴くことができた。
その後、仮設店舗が並ぶ「七の市商店街」を訪れた。仮設店舗に懸けられたユニークで多彩な看板は、地元の中学生が作ってくれたもの。花屋「花よし」の奥さんから、津波で全て流されたがボランティアセンターを手伝い、そのお陰で前向きに頑張ってもいられるとの話を聴かせてもらった。
加藤師の案内のお蔭で地元の方々に笑顔で迎えられて、その被災に負けずに頑張っておられる姿に間近かに接することができたのが、慰霊チームのなによりの成果だったと思う。

【傾聴ボランティア】
女川町石巻バイパス用地仮設住宅には東西2カ所の集会所があり、そこでカフェを開く。当日は協力寺院よりご提供頂いた菓子類と紅茶を袋詰めして戸別訪問して配布。その際にチラシを持参して呼び込みを行い、来店者にお汁粉や飲み物を無料にて提供し、法話や茶話会を行う。戸別訪問など状況によって傾聴活動を行う予定であったが、本来の傾聴までには至らなかった。
過去の訪問によるところもあり、仮設住民は温かく迎えてくれ、当初の予定になかった共に持ち寄った食材を使い調理し、住民と我々で昼食をともにすることで、仮設住民が民謡などを披露してくれ団欒することもできた。また、持ち寄ったお菓子に余裕があった為、隣接の仮設住宅にもお菓子などの配布を行う。
昨年8月・11月の傾聴ボランティア、その後、当活動の参加者が関わる浅草仏教会なども、同様の活動を行ってくれたこともあり、仮設住民との距離がだいぶ縮まったように感じられた。また、今回は好意的に接してくれる自治会役員が、多くの面で協力してくれたこともあり、スムーズに且つ我々も楽しく活動を行うことが出来た。これは地道に回数を重ねてきたことによるところであり、今後も同じ場所で活動していくべきだと感じられた。しかし、そのような中でも、いまだに家に引き籠もり、外へ出てきてくれない者も多く、本当に必要としてくれる者に対してのケアが行えていない現状でもあり、今後はそのような方に対してどのようにアプローチして、『心のケア』が行っていけるかが課題でもある。

その他、家族を失った住民の一部からは昼間はともかく、夜になると話し相手が欲しいという声もあり、今度は夜にこのような企画を行って欲しいという要望もあった。
また、僧侶が仮設を訪問することに対して感想を聞くと、日蓮宗で訪問してくれることはうれしいとの回答があり、更に物資配布についてのリサーチを行うと、現状ではもういいと言う 回答があった。女川町はじめ七ヶ浜でも与えるだけの支援から自立支援に移行していく時期ではとの意見を伺った。

【活動を通して】
『男の料理教室』を実施して、地元ボランティアサークルを始め、多くの方々と人間関係を築けた。そこでの意見として、今後も継続するのであれば、参加者の動員を図ることについて協力するといった声を聞くことが出来た。
女川での活動を通しては、私たちを待っていてくれる方がいることも実感できた。
浅草仏教会も同様の活動をしてくれることによって、信頼感を得ることが出来たのではと感じている。何よりも私たちを待っていてくれる人がいて、その方たちが我々の活動について理解し、協力してくれていることによって、充実した活動が出来るといったことも実感することが出来た。
今回の活動を通して、やはり現地とのパイプ役の重要性を改めて実感した。被災地に支援拠点を持たない我々にとって、日頃より被災者のケアを行い、信頼関係を築いた者(コーディネーター)がいるかいないかで、活動に大きく影響を与えている。しかしながら一方で、その者に負担を与えていることも現実である。
そこで、この負担を軽減する為にも、支援活動の回数を重ね精度の高い活動を同じ場所で行うことで、住民とのより強い信頼関係を構築していく必要があると感じられた。
また、男の料理教室や傾聴といった面でも、地元の人間でない第三者、しかもこれが僧侶のような立場の者であるといったことも求められているようだ。
現在は避難者の中でも温度差があり、その他にも地元の人には話しにくいといったことを抱えている方がいる現状である。

被災地にはまだ僧侶を必要としてくれる被災者が大勢いるようで、多くの教師が積極的に関わっていく必要性を改めて実感した。

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