自然
仏教では自然(じねん)と読みます。
一般的には、山や川、草、木など、人間と人間の手の加わったものを除いた、この世のあらゆるものを指して使われることが多い言葉です。
仏教語としては、それ自体で存在するもの、おのずからそうである事などを指します。
古来より日本人の自然の捉え方は、客観的な、人間の外側にある自然体系ではなく、内側に存在するものを指していました。
それが仏教的な〈ジネン〉の意味です。
現代的な〈シゼン〉は、明治時代後半に輸入された〈英・ネイチャー〉〈仏・ナチュール〉を日本語に訳した時よりの意味合いです。
そういう意味では〈ジネン〉は日本人の根底にある思想ですが、〈シゼン〉は外来語ですね。
仏教語としての〈ジネン〉は、「オノズカラシカナリ」という訓読みの如く、外側にある客観的な生態系ではなく、人間の内側にある「このようにありたい」、という理想的なあり方を表しています。