油断
油断大敵、油断は怪我の元、などの諺にも使われます。
また、油断するという動詞としても用いられる言葉です。
〈油断〉の起源は多くの仏典に垣間見られます。
例として、『涅槃経(ねはんぎょう)』には、次のような説話があります。
ある王様が臣下に油の入った一つの鉢を持たせ、行動する時にもし油を一滴でもこぼせば、お前の命を断つであろうと告げ、抜刀した家来をその臣下の後につけさせました。
鉢を持った臣下は注意深くその鉢を持ってゆき、ついに一滴も油をこぼすことがなかったといいます。
このように注意深くあることで、油を断つことがなかった、という事から〈油断〉という言葉が生まれました。また初期仏典には、神仏に捧げる灯火を絶やさぬよう、油を断たないように大切にする、という教えも多く存在し、そこから〈油断〉という言葉が生まれたという説もあります。
いずれにしても、古代インドでは〈油〉というものが大変貴重な物であり、不注意で油を損失してしまわないように、戒めの言葉として〈油断〉が生まれました。