じつは身近な仏教用語

【くう】

【s:śūnya】

「空」は、しばしば、何もない「無」という言葉と混合されがちですが、固定的実体が無いという意味であり、存在が「無」ではないという事が大切です。
仏教では様々な諸条件によって自分やモノゴトが存在している、成立していると考えます。
固定的で不変なモノゴトは無いですが、諸条件が構成した結果としての存在はあります。抽象的ですので、例えでご説明します。
ここに小枝が2本あります。左の小枝は右に比べて長く太いです。
この左の小枝は、長く太い小枝、右は短く細い小枝です。
しかし、さらにもう一本、より長く太い枝を加えたらどうなりますか?
今まで、太く長い小枝だったものが、中くらいの小枝に変化します。
この小枝に与えられていた属性・ラベリングが変化しました。
属性や肩書、ラベルは比較するもの、状態、月日によって変化し固定的ではありません。しかし、枝としての存在はどのような属性が与えられても存在しています。
この場合、小枝の長い短いや太い細いなどラベリングが「空」という事になります。
私たちにも、肩書や地位、属性などが常に存在しています。しかし、それは常に条件によってたまたま与えられているだけで、固定的ではなく変化をしていきます。
しかし、変化をしながら自分は存在し続けていきます。
この変化しながら存在するという考え方が「空」です。

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