令和5年9月
フィリピンの農漁村における子どもの権利促進事業
団体名:認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会
事業名:フィリピンの農漁村における子どもの権利促進事業
実施期間:2023年9月1日~2024年3月31日
支援金額:7万円
【団体紹介】
フィリピンと日本で活動する、京都生まれの国際協力NPOです。フィリピンで貧困や人権侵害にくるしむ子どもや女性を対象に、「子どもに教育、女性に仕事」を柱とした活動を続けています。
【活動内容】
4人に一人が経済的理由で小学校を卒業できないフィリピンで、<子どもに教育、女性に仕事>の機会を提供するプログラムを実施しています。
単に貧しい住民のニーズを満たすだけでなく、住民に対する啓発・研修を行い、住民自身が、互いに協力し合いながら、自分たちの抱える問題を自分たちで解決する力を身につけてもらえるよう活動しています。
また、日本国内においても、スタディツアーや啓発事業、フェアトレード事業を行い、日本の市民が互いに協力し合いながら、またフィリピンの貧しい人々と協力し合いながら、フィリピンの貧困問題を市民一人一人の力で解決することができるようになるよう活動しています。
【事業内容】
事業地:フィリピン・ケソン州アラバット島ペレーズ町
事業対象者:貧しい家庭で、経済的に就学の困難を抱えているハイスクール(中高)生43名、およびその保護者
事業の背景と目的:
事業実施地域の主な産業はココナッツと零細漁業で、大土地所有制のもと、小作人は収穫の5割から6割を地主に収めながら働き、小作人にもなれない最底辺の人たちは素潜り等の零細漁業に従事し、漁のできない時期は臨時の仕事をしながら日当を得て食いつなぎます。現金収入は不安定で、季節的に飢えにさらされる人たちもいます。
そんな中、経済的な理由で小学校やハイスクール(中高校)に通えない子どもたちがいます。また、いじめ・放置・虐待・性暴力・児童労働などにさらされている子どももいて、子どもたちが声を上げる機会も保障されていません。
こうした現状を変えていくには、学校に通うことの困難な子どもたちの就学を支援するとともに、保護者や地域の人々の子どもの権利についての意識を高める努力を積み重ねていくこと、また子どもたちが自らの権利を認識し、自分たちが抱える問題を表現し助けを求める力を伸ばしていくこと、そして子どもたちの訴えに応えるための仕組み(家庭・学校・地域における)を整える必要があります。
本事業は、2022年度からの3か年計画として実施しているものです。当会が就学支援しているハイスクール生とその保護者を対象とし、子ども会と保護者会の組織化、子どもの権利についての意識の向上、子ども会主導による学校での啓発活動の展開、学校や町役場との連携を創り出す活動を行う中で、子どもたち自身が自らの権利を守り、自分たちの福祉を向上させる主体となることを通じて、子どもに優しいコミュニティをつくることを目的としています。
その中で、2023年度は、学校内において「子どもの保護と相談のための運動」を立ち上げることを目標として活動しました。事業対象の子どもたちが、「保護される権利」についての学びを深めるとともに、同級生たちに働きかけ「運動」を組織・運営するために必要な、リーダーシップ、コミュニケーション、人間関係への対処法を身につけ、主体的に「運動」を進めることができるようになることをめざしました。
実施した活動:
1)子ども会・保護者会の組織化
・ 子ども会・保護者会それぞれに、月一回集落ごとないし全体で会議を行いました。
それぞれの会で役員を選出し、自分たちで会の運営が行えるよう補助しました。
・ 9月から2月まで、保護者会の会議時に子どもの権利に関するセミナーを6回行いました。テーマは下記2)と同じです。
2)子どもたちを対象とした土曜日ワークショップ
・ 9月から2月まで毎月2回、計12回、午前と午後のクラスに分けて実施しました。
・ ワークショップのテーマと参加者数は以下のものです。
①「子どもの保護される権利に関する政府の役割」 43名
②「子どもの保護される権利に関する政府・学校・地域の役割」 39名
③「子どもの保護と相談のための運動の組織性格、意義、役割」 42名
④「リーダーシップ」 43名
⑤「コミュニケーション」 29名
⑥「軋轢と解決法」 40名
3)絵画展示
・土曜日ワークショップ時に、子どもの権利のうち「生存する権利」「保護される権利」をテーマとして自分たちの経験や思いを絵にして表現し、10月14日~16日の3日間Bagong Silang村のホールに展示しました。
4)「子どもの保護と相談のための運動」の立ち上げ
・11月から1年生~3年生の学年ごとにグループを作り、各グループが同級生の相談に乗る活動を始めました。
・12月20日には会議を行い、学年ごとに会長と書記を選出し、家庭や学校、地域でぶつかっている問題について話し合いました。母親ががみがみ言うこと、学校での課題が多すぎること、近所の住民がうるさいこと、夜街灯がすくないことなどが共有されました。
・1月には、自分たちの活動について教員に説明し、協力を求める必要性が話し合われ、2月に2名のメンバーが教員と話し合う機会を持つことができました(その後、プログラムの担当スタッフも説明しています)。教員と話をした2名のメンバーは、話す前はとても緊張していましたが、話を聞いてもらえたことで、自分たちの活動に対し自信を持つことができました。
5)クリスマスパーティー
・12月16日、事業対象者間の親睦を図るためにクリスマスパーティーを開催し、43名のハイスクール生全員が参加しました。ゲームやダンスなどで楽しい時間を過ごしました。保護者会のメンバーが軽食を準備しました。
6)ハイスクール生・保護者による事業の振り返り
・3月には、「最も重要な変化」(MSC)という手法を用いて事業の振返りを行いました。