令和3年2月
2019年台風19号の被災者と福祉事業を繋ぐ、写真洗浄を通した心の復興事業（長野県）
団体名：認定NPO法人アイキャン（ICAN）
事業名：2019年台風19号の被災者と福祉事業を繋ぐ、写真洗浄を通した心の復興事業（長野県）
実施期間：2020年12月14日〜2021年6月30日
支援金額：45万円
【活動の意義】
2019年10月の大型台風19号によって千曲川の決壊による壊滅的な被害を受けた長野県北部には、流され、泥だらけになった写真が多く存在します。写真は過去を記録した思い出の品であり、お金で買うことのできない大切なものです。水害で全てを流された被災者の方々は、心に深い傷を負っていますが、泥だらけになった写真がきれいになって戻ってくることで、過去の大切な思い出とつながり、全てを失ったわけではないと確信でき、心の復興につながります。
心のケアの観点からは、被災1周年までには写真を返却すべきでしたが、新型コロナウイルスの影響でそれが難しくなったことから、長野県社会福祉協議会及び長野市社会福祉協議会と協議のうえ、両者の協力を得て、福祉就労の一環として写真洗浄を早期に完了させる新たな事業を始めることとなりました。この方策をとることで、できる限り早急に被災者の方々へ写真を返却し、心の復興へつなげると同時に、本事業において災害復興と福祉就労を繋げることが成功すれば、今後他県において災害が発生した際にも参考にしてもらえる新たなモデルを提示できることにも意義があると考えます。福祉就労と災害復興を繋げることは、両者の幸せを実現するための有効な手段でもあり、また被災者にとっても障がいのある方にとっても、この機会に生まれる新たな繋がりや絆から、より多くの笑顔を生むことができます。
【活動内容】
長野県社会福祉協議会、長野市社会福祉協議会と連携のうえ、長野県の７つの福祉事業所において、福祉就労の一環として写真洗浄事業を実施しました。福祉事業所の利用者の方々は、写真洗浄の手順やコツを事前研修で学んだうえで、丁寧に洗浄作業を実施しました。利用者からは、「被災された方の役に立ちたいと思っていたので、こうして関わることができて嬉しい」との声が聞かれました。早期の返却に向けて、福祉事業所だけでなく、地元のボランティア37名にもご協力をいただき、被災された住民の方々からお預かりしていた62件（約30,000枚）の写真のうち、30件（約12,000枚）の洗浄、及び返却が6月末までに完了しました。
ご返却時には、住民の方々より、「兄の写真は預けているものしかなかったので、きれいにしてもらい感謝している。新しくなった仏壇の前にきれいな写真を飾れて兄も喜んでいる。」や、「こんなにきれいにしてくれて嬉しい。コロナ禍で大変な中、写真洗浄をしてくれている皆さんには頭があがらない。」など、喜びの声をいただくとともに、写真を見ながら過去の思い出について語ってくださる声に耳を傾けることで、心の復興を後押しすることができました。
残りの写真についても、7割以上が仕上げの工程が完了しており、アルバムへの挿入とご返却をするのみとなっています。作業は引き続き継続し、7月中の完了を予定しています。
【支援金の使途】
写真洗浄を実施する福祉事業所の利用者の工賃に充てさせていただきました。
【団体紹介】
認定NPO法人アイキャンは、一人ひとりの「できること」を持ち寄ることによって、世界中の子どもたちが享受できる平和な社会を築くことを目的とし、危機的状況にある子どもたちの生活改善に取り組んでいる国際NGOです。貧困や紛争、災害などに苦しむ社会的に弱い立場にいる人々に寄り添い、声を聞くとともに、その地域に住む人々とともに、生活が向上し続けるシステムを作る事を大切に活動しています。
【主な活動内容】
海外：イエメンでの食糧提供、ジブチでの難民キャンプの運営・子どもの保護施設建設、フィリピンでの自然災害・紛争被災地での救援物資の提供、子どもの保護、児童養護施設運営、学校建設、平和教育等。
国内：日本での自然災害被災地での救援物資提供・ボランティアコーディネート、外務省委託NGO相談員、外務省JICAとの連携推進、国際理解教育、海外研修、フェアトレード等。
そのとき最も必要な活動を実施できるよう、マンスリーパートナーを募集しています。
詳しい団体情報や各事業の詳細については、下記URLからホームページをご覧ください。
