平成30年10月
就労困難者のための社会的居場所としてのコーヒー焙煎事業
団体名:認定特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい
事業名:就労困難者のための社会的居場所としてのコーヒー焙煎事業
支援金額:30万円(2018年10月)
【団体紹介】
〈もやい〉は、アパートで新生活を始める人々の、暮らしの基盤づくりをお手伝いします。
経済的に貧しく、人とのつながりにおいても孤立している。このことが今、路上・公園・施設・病院など、広い意味での「ホームレス状況」に置かれている人々にとって、自立をさまたげる大きな要因となっています。そしてその「人間関係の貧困」を象徴するのが、「アパートに入居したくても連帯保証人が見つからない」という問題であると言えます。
私たちは、アパート入居に際して連帯保証人を引き受けると共に、共通の課題を抱える当事者同士の交流を通じて、社会的な孤立状態の解消をめざします。そして、人間関係を新しく紡ぎながら、安心して地域社会での生活を築けるよう、専門家の協力も得ながら、「困ったときにはお互いさま」と言えるつながりを作っていきます。
「自立」とは、ひとりで生きることではなく、つながりの中で生きること・・・人生の再出発を迎える皆さんと一緒に、新生活の基盤づくりをお手伝いする。そして、誰もが排除されることなく、安心して暮らせる社会をつくっていく。それが私たちの活動指針であり、理念です。
【活動内容】
〇入居支援事業
・入居に向けた支援
路上・公園・施設・病院など広い意味でのホームレス状態にある方がアパートでの生活を始めるために、賃貸契約時の連帯保証人、緊急連絡先の引き受けや高齢・病気・障害などで住居を確保することが困難な方のための不動産仲介を行っています。
・安否確認
アパート入居後、郵便による安否確認(年4回)、必要に応じて訪問活動を行っています。
〇生活相談・支援事業
・面談での相談 毎週火曜日に面談による相談を行っています。
・もやいホットライン(電話での相談)
毎週火曜日と金曜日に「もやいホットライン」(電話:03-6265-0137)を開設し、生活に困窮している方々のざまざまな相談に応じています。
・制度利用のサポート
生活困窮状態からの脱却を支援するため、福祉事務所での生活保護申請に同行するなど、公的なサービスの利用をサポートしています。
〇交流事業
・イベント開催
アパート入居後の孤立化を防ぐため、食事会や行楽など「もやい結びの会」の会員を中心とした交流の場を設けています。
・居場所づくり
誰でも気軽に立ち寄れる交流サロン「サロン・ド・カフェ こもれび」、女性の居場所「グリーンネックレス」、若者の活動場所「ランタンベアラ こもれび」を定期的に開催しています。
・はたらく場つくり
農業体験やコーヒー焙煎などを通じた社会的参加の機会を設けています。
〇広報・啓発事業
・公的機関への提言
国、地方自治体などの公的機関に対して、社会的弱者である当事者の立場から提言を行っています。
・情報発信
ニュースレター「おもやい通信」(年4回発行)やウェブサイトなどを通じて〈もやい〉の活動や、貧困問題への社会的理解を深めるための情報を発信しています。
・講演
学校への出前講座や地域での講演・啓発活動も積極的に行っています。
【支援事業について】
交流事業の一端である「はたらく場つくり」のコーヒー焙煎事業は2007年1月より活動していましたが、2017年3月に行った事務所の移転により、老朽化した大型のガス焙煎機が事務所および周辺の環境と合わず活動を停止していました。しかし、焙煎事業の立ち上げメンバーの希望もあり、2017年8月から再開を目指して活動を始めました。月二回、水曜日に活動しています。最初の立ち上げ時に購入した小型の焙煎機を使いながら、ゆくゆくは毎週土曜日営業しているサロンでお出しするコーヒーのオリジナルブレンドを作ることを目標に、新しいメンバーを募りながら焙煎を学んでいます。今回の助成金で現在の環境に適した焙煎機を購入し、サロンで提供分を焙煎できるようになりました。
【社会へ向けて】
当法人では17年にわたって生活困窮者の支援に携わってきました。その中で病気や障害、その他の理由で仕事ができない方々にたくさん出会って来ました。仕事ができないことで、社会との接点を失い、自分の居場所や尊厳を失うことも珍しくありません。「俺たちはありがとうって言ってもらうことがなくなって久しい。そうやって人様から感謝される機会が必要なんだ。」というのは焙煎を行っている中心メンバーの言葉です。コーヒー焙煎の作業を共同で行うことや販売業務、イベント出店などを通して、多くの交流を生み出し、各人に活躍の場・役割を創出することができます。そうした活躍の場・役割が、彼らの居場所や尊厳を回復させると私たちは考えています。