平成27年8月
ミャンマー農村部における保健センター環境改善プロジェクト
【団体名】特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構
【事業名】ミャンマー農村部における保健センター環境改善プロジェクト
【団体紹介】AMDA社会開発機構(AMDA-MINDS=アムダ・マインズ)は、2007年に設立された特定非営利活動法人(認定NPO法人)です。私たちは「今日の家族の生活と明日の希望の実現」を目指し、アジア・アフリカ・中南米の貧困地域において、保健医療を中心とした社会開発の活動に取り組んでいます。
【活動内容】AMDA-MINDSは現在、海外5ヵ国(ミャンマー、ネパール、インドネシア、ホンジュラス、シエラレオネ)と日本で活動しています。海外では、保健分野(母子保健、地域保健、保健システム強化)に加え社会開発や生計向上のプロジェクトを、国内では講演会等を通じた国際理解教育の促進などを進めています。
ミャンマーでは1995年から、保健(母子保健、地域保健など)、社会開発、生計向上(マイクロファイナンスなど)といったプロジェクトを、貧困度の高い中部乾燥地の農村部と少数民族地域で実施しています。
【支援事業について】ミャンマーの中部乾燥地にあるメティラ郡で、保健センターに薬品棚を供与しました。保健センターは、駐在する助産師らが手術を伴わないけがや病気の治療、予防接種、出産の介助といった基礎的な保健サービスを提供する拠点で、農村部に暮らす人々が体調不良の際、最初に頼りにする医療施設です。しかし設備は不十分な点も多く、例えば医薬品や注射器などは保健省から支給されるものの薬品棚や患者のベッドといった備品は配備されません。乾燥した地域で空調設備もないため、仕方なく床に置かれた医薬品はすぐに土ぼこりをかぶり、白アリの害で使えなくなってしまうこともあります。
今回、あんのん基金の支援によって計11の施設に薬品保管用の棚と収納棚を整備することができました。内訳は次のとおりで、いずれも2015年12月に整備が完了しました。
(1)保健センター等:薬品棚1台×10ヵ所、収納棚1台×2ヵ所
6つの保健センター
ニャウン・カイン(Nyaung Kaing)、マ・チー・スウ(Ma Kyee Su)、
シャン・テ(Shan Te)、モン・タイ(Mone Tai)、クウェ・ングェ(Kwet Ngae)、
ニャウン・ピン・エー(Nyaung Pin Aye)
2つの地域拠点病院
アレ・ユワー(Ahlae Ywar)、シャン・マ・ングェ(Shan Ma Ngae)
街区住民用保健センター
母子保健センター
※棚が足りず、床で保管されていた医薬品 ※床で保管され、白アリや湿気で傷んでしまった医薬品
(2)郡保健局:収納棚2台
これにより、医薬品や医療機器が適切に保管され、在庫管理もしやすくなりました。ニャウン・カイン保健センターの補助医師であるテイン・ニュン(Thein Nyunt)氏から、支援に感謝する手紙が届きましたので、内容を簡単にご紹介したいと思います。
「ご支援いただく前は、自分たちで準備した棚だけでは収納が追い付かず、箱のまま床に積み上げざるをえない薬もありました。床に置くときれいに整理できず取り出しづらく、掃除もしにくかったです。あんのん基金で棚をいただき、薬と管理記録を整理して保管できるようになりました。必要としていたニーズに応えていただき、大変感謝しています」
なお、以前から使っていた棚には穴が開き壊れてしまった箇所があるものの、修理して引き続き使用しているそうです。
支援内容の詳細は、郡全体の保健行政を管轄する郡保健局との協議のもと、各施設が必要としている規格・数量にあわせて供与先を決定しました。農村部を管轄する地域拠点病院でさえも備品が配備されていないことが分かり、ニーズの高さから、最終的には保健センターに加え、地域拠点病院も供与先に含まれることになりました。また、供与後は当団体スタッフが各施設を訪問し、薬品棚等が適切に使われていることを確認しています。
※棚を各保健センターへ運ぶ様子 ※あんのん基金で配備した棚に医薬品を収めた様子。
※頂いた手紙
【社会へ向けて】ミャンマーでは2011年の民政移管をきっかけに民間の投資や国際援助が増え、急激な変化が起きています。しかしながらその恩恵は都市部に集中し、農村部までその果実が十分行き届いていません。
メティラ郡は非常に乾燥した地域で、多くの住民が農業に従事していますが、天水農法に頼った収入は常に不安定です。そのため、急な医療支出(薬代、病院までの交通費、患者本人と付添家族の食費など)をまかなうため高利貸しから借金をし、結果として貧困に陥るケースも珍しくありません。こうした状況を改善するため、AMDA-MINDSではマイクロファイナンスを活用した生計向上プログラムや保健教育などを、20年にわたって実施しています。
私たちは、地域や経済状況による格差がなく、衣食住の基本的なニーズが満たされ、人々が明日への希望をもてる社会の実現が重要だと考えています。本事業により、都市部と農村部の健康格差が少しでも解消されることこそが、そのための着実な一歩です。
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