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あんのん基金

平成25年4月10日

シェア:タイ・ラオス国境HIV予防啓発・ケアプロジェクト

特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

団体名:(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

事業名:タイ-ラオス国境地域におけHIV/AIDS予防啓発およびケアプロジェクト

支援金額:30万円(平成25年4月)

【団体紹介】:(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

わたしたち「シェア=国際保健協力市民の会」は、1983年8月2日に発足し、2001年9月に特定非営利活動法人化した団体です。ビジョンを「Health for All! 」として、すべての人びとが心身ともに健康に暮らせる社会を実現することを目指しています。またミッションとして、シェアは、厳しい境遇にある人びとが自ら健康を改善することを、側面から支援し、貧富の差や不公平を解消するためにわたしたちに何ができるかを、日本の社会に問いかけていくことをその使命としています。

【活動内容】

  • 【タイ】タイ-ラオス国境地域におけるHIV/AIDS予防啓発およびケアプロジェクト
  • 【カンボジア】プレイベン州スバイアントー郡保健行政区における子どもの健康増進プロジェクト
  • 【東ティモール】エルメラ県・ディリ県の初等教育課程における保健教育推進プロジェクト、アイレウ県における保健スタッフ主体のFamily Health Promoterサポート向上プロジェクト
  • 【日本】医療サービスを受けることが困難な在日外国人対象の無料出張健康相談会や医療電話相談、外国人結核患者療養支援のための医療通訳派遣、HIV陽性外国人療養支援セミナー、東日本大震災支援など
     

【支援事業について】:タイ-ラオス国境地域におけHIV/AIDS予防啓発およびケアプロジェクト

シェアでは、2008年1月から2016年9月を期間として、タイ―ラオス国境地域のタイ国ウボンラーチャターニー県ケマラート郡におけるHIV陽性者の健康づくりおよびヘルスサービスアクセスの向上を推進しています。また地域住民のHIV予防啓発などを通じて、HIVを含めた性感染症新規感染者が減少することを目指しています。
直接的な受益者としては、ケマラート郡病院を利用しているHIV陽性者自助グループメンバーおよび子どもたち、またHIVの感染の危険性が高いグループである男性同性愛者・カラオケ・バーで性産業に従事しているラオス人移住労働者、地域住民の計約2,500名を対象としています。

この事業では、ケマラート郡のHIV陽性者自助グループメンバーへ健康促進活動と、一般住民への予防啓発活動を行っています。
具体的には、HIV陽性者自助グループメンバーに対しては、定例会の開催、HIV陽性者リーダー育成研修の実施、HIV陽性者リーダーによる家庭訪問・カウンセリングの支援を行っています。
また一般の住民向けには、男性同性愛者を対象とした定例会、男性同性愛者リーダー育成研修を行い、カラオケ・バーで性産業に従事しているラオス人移住労働者を対象には、ケマラート郡病院におけるSTI(Sexually Transmitted Infections性感染症)/HIV検診の促進と調整、病院とモバイルクリニックの共同実施、HIV予防啓発のためのワークショップ、メディア作成、性感染症予防ツールの配布なども行っています。併せて地域住民対象の啓発活動としてエイズキャンペーンを行っています。

シェアのアプローチとしては、「プライマリ・ヘルス・ケア」*の理念に基づいて、活動対象者グループが自立して活動を行えるようにグループのリーダーの育成に力を入れ活動を実施しています。HIV陽性者が適切な治療方法について理解し、健康な日々が過ごせることを目的としていますが、さらに、一歩踏み込んで、エイズによる問題を解決するのは当事者を含んだ住民自身であると考え、地域関係者の主体性を育むことを目指し、地域住民対象の予防啓発活動を行っています。
シェアは、2012年よりシェア・タイ事務所から現地財団法人化したHEALTH AND SHARE FOUNDATION (HSF)とともに事業を展開しています。

*プライマリ・ヘルス・ケア(PHC):1978年、世界保健機関と国際連合児童基金の合同会議におけるアルマ・アタ宣言で定義されたもの。「実践的で、科学的に有効で、社会に受容されうる手段と技術に基づいた、欠くことのできない保健活動」(アルマ・アタ宣言)を指し、すべての人にとって健康を、基本的な人権として認め、その達成の過程において、住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念・方法・アプローチであると言えます(シェアのHPより)

【社会へ向けて】

タイでは1984年にHIV感染の報告がされて以来、既に110万人以上がHIVに感染しています。現在でも約50万人が感染していると推定され、15歳から49歳の人口の約1.3%が感染していると言われています。新たな感染者数は年々減ってきていますが、2012年は約3万人がエイズによって 死亡したと推定されています(出所:UNAIDS*)。
2003年よりエイズ発症を抑える抗HIV薬がタイ政府から無料で提供されるようになり、HIV陽性者の治療に関する環境は変わってきており、2009年には治療を必要としている人の77%が治療にアクセスできるようになっています。
一方で現在、抗HIV薬の服薬治療の難しさにも直面しており、薬を服用し体調が回復したことで、HIVが治ったと誤解し、服薬を止めて出稼ぎに戻る人がタイ東北部の活動地では後を絶たちません。抗HIV薬は一度服薬を開始すると、必ず決まった時間に一生涯服薬し続けなければ、薬剤耐性ができ再治療が困難となります。このことからも服薬を開始したHIV陽性者には細やかな服薬指導が必要となります。

シェアの活動地のタイ東北部では都会や漁業地域への出稼ぎ労働者が多く、出稼ぎ先でHIVに感染したのを知らずに地域に戻り、パートナーへの性行為による感染や母から子への感染のケースが見られます。地域におけるHIV陽性者への差別や偏見、エイズ孤児、家族の問題、陽性者の経済的な不安定さなど、大きな課題も山積みとなっているのが現状です。

シェアとしては、当事者を含めた住民自身が、差別と偏見のない村づくり、感染の有無に関わらずお互いに協力して暮らしていける社会の担い手になることが重要だと考えています。住民自身がそのような社会を築き上げた時、はじめてエイズによる問題を乗り越えられると考えて、活動を行っています。

*UNAIDS(国際連合エイズ合同計画。):HIV・エイズの世界的な感染拡大に対応するため、国連全体としての取り組みを強化する目的で設置された機関。

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