平成24年12月10日
CRMS市民放射能測定所福島~青少年に向けて
団体名:NPO法人CRMS市民放射能測定所福島
事業名:未成年者へのホールボディーカウンターでの無料測定
支援金額:15万円(平成24年12月)
【団体紹介】:NPO法人CRMS市民放射能測定所福島
平成23年3月11日の東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一発電所の一連の事故は、被災県のみならず日本中に未曾有の災害となりました。とりわけ原発事故を起因とする放射能汚染は国の安全対策の未熟さを露呈させたばかりか、各行政機関の対応能力の無さをあらわにしました。
一方でNPOをはじめ民間企業、各非営利組織を中心にボランティア等を通し被災地域に寄り添った活動が多く見られ、人と人の繋がりの大切さを再確認する機会となりました。
しかしながら被災地でとりわけ対策の遅れた分野が福島県においての放射能対策です。行政はおろか、いわゆる専門家と呼ばれる方々の対応も地元住民の不安に答えていたとは言いがたいものでした。
そのような中でCRMS市民放射能測定所は、市民自らが放射線の測定を行い、放射線防護のための情報を提示すること目的に設立されました。平成23年6月にフランスのNGOであるCRIIRADより簡易食品測定器 LB200の貸与を受け、早い段階から測定を始めています。
震災後、福島県内の医療機関や原子力関連施設へ設置されているホールボディーカウンターが一般向けに活用されず、子どもを持つ親御さんたちの不安や不信が高まる中、CRMS市民放射能測定所は、市民団体で初めてのホールボディーカウンターの導入行い、現在は国内の椅子型ホールボディーカウンターの中ではトップレベルの測定能力を有するまでになっています。
現在、福島県内に測定所としてのオフィスを設け、独立した第三者機関として中立した立場で測定と結果を開示することを目的として活動を行なっています。また定期的に「こども健康相談」を開催しています。全国から心ある医療関係者に来ていただき、住民の方々の健康上の不安に寄り添った相談会となっています。参加者の方々からは「周囲ではあまり放射能や支援法のことを話題にすることもできず、今日参加して色々相談することができて本当によかった」「支援法の中身や課題について理解することができた」 「 具体的に法律に盛り込んでほしい内容について直接訴えることができた 」などの声をいただいています。
【活動内容】
・食品の放射線測定
・ホールボディーカウンターによる体内の放射線測定
・小児科医ネットワークの協力のもと、健康相談会の開催
・関連書籍の販売
・講演会等の情報発信と共有
【支援事業について】:未成年者へのホールボディーカウンターでの無料測定
福島県内において行政からのサポートが比較的遅いとされている中・高校生と、ほとんどサポートされていない大学生(県外からの入学者も含む)へのホールボディーカウンター無料測定を行っています。とりわけ内部被ばくの懸念の高い野外活動の多い部活動などの在籍者を優先し、担任の教員と連携して、中長期的な放射線防護への提言とアドバイスを行ないます。
【社会へ向けて】
一昨年の行政側の安全宣言と復興ムードの中、放射線への不安は解消されていないにも関わらず、世間的には話題として置き去りにされています。一方で多くの不安を抱えたまま誰にも相談できない状態で子育てをせざるを得ない保護者達も多くいます。
報道はほとんどされませんが、放射線に対して、不安を持つ市民の声を押さえつけるような施策がとられ、国家行政と地方行政、生産者と消費者など、立場や考え方の違いを認め合うことの難しさに直面しています。原発事故の被害というのは、このような普段気にしないで済む問題を浮き彫りにする傾向があるように感じます。
反面、日蓮宗をはじめ多くの方々のご支援を温かく頂くこともできました。世界中からのご支援やご理解を頂き、人間の素晴らしさを感じることが出来ることは幸せなことだと思います。
今後とも行政側から独立した第三者機関が測定とアドバイスを行なう事で、国や自治体に対する不信感の払しょくと、日常的な放射線防護に対する意識を持ってもらいながらも、過度な不安を持たずに生活できるよう、皆さまをサポートしていきたいと考えています。